書ぽコンコラム第2回『なろうの流行に合わせてわざわざ長いタイトルにしてやってるのになぜかポイントが跳ねないあなたのためのタイトル講座(2)』
こんにちは、遠野九重です。
世間ではいまだ新型コロナの影響が続き、『小説家になろう』のランキングには長文タイトルが数多く並んでいる現状ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
前回のコラムですが、予想以上の反響を頂いておりまして、非常に嬉しく感じております。
そのなかの一部を紹介しますと……
・NOTEで有料情報になるべき内容が無料公開中。内容全部メモさせていただきました。
・面白い。ありいそとがちがち、今後は意識してみたい。バズるツイートにも応用の要素がありそう。
・試してみたら効果あった。これ、使える。
上記のように高評価が多く、また、すぐに実行に移したことで効果を上げている方もいらっしゃるようです。
ちなみにですが、反論(?)として「短いタイトルじゃダメなんですか!?」という声もいただきました。
結論から言うと、ダメじゃないです。
短いタイトルであろうと十分に勝負できます。
たとえば7月14日の日間総合ランキング1位は「ふつつかな悪女ではございますが」です。
これにプラスして『小説家になろう』の日間総合ランキングで上位に入り、しかもコミカライズに届いた作品をいくつかチェックしてみましょう。
すると、いくつかのコツが見えてきます。




ちなみに「ありふれたフレーズに引っ掛ける」というのは長文タイトルにも使えるコツです。
タイトルが長くても短くても、本質的なコツは同じなのです。
さらに言えば、これらの技術はすべてキャッチコピーやバズるツイートにも応用が利きます。
(ですので、もしも貴方が『小説家になろう』から離れたとしても、このコラムの内容は一生役に立ちます。おトクですね!)
さて、前回の振り返りも終わったところで、新しい話題に入っていきましょう。

今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話します。
まずは「2.石油王の体験談」の法則からですね。
突然ですが、石油王は好きですか?
Twitterではたびたびネタにされてバズっていますし、どうやら人気は高いようです。
では、石油王というと、どのようなイメージで知られているでしょうか?
これまでに読んたマンガなどを思い出して、ちょっと考えてみてください。
・頭にターバンを巻いている
・浅黒い肌にあごヒゲ
・砂漠の国の生まれ
・やたらと日本のゲームやアニメに詳しい
・手から石油を出す(?)
・5000兆円をポンとくれる
「石油王」という人の立場・性質を示す短いフレーズ、すなわち、広い意味での「肩書き」から色々なイメージが出てくると思います。
世の中では「肩書きで人を判断するな!」という主張もあります。
ですが逆に言えば、我々は肩書きひとつで相手に対してさまざまなイメージを膨らませるのです。
この性質を利用することが、魅力的なタイトルを付けるにあたって重要になってきます。
「勇者」「賢者」「魔王」「聖女」「悪役令嬢」「無能」「辺境領主」「執事」「外れスキル」――。
主人公の立場・性質を分かりやすく示す短いフレーズ(=広義の「肩書き」)をタイトルに盛り込むだけで、読む側の脳内に具体的なイメージが浮かびやすくなり、読んでもらえる可能性が高くなります。
そして、さらにここでもう一押しのコツをお教えしましょう。
石油王の話に戻りますが、以下の例を見て、それぞれの情景をイメージしてください。
・石油王が大阪で食べ歩きをする話
・石油王が人生初のスキーに挑戦する話
・石油王が雨の日に捨て猫を拾う話
いかがだったでしょうか?
具体的なイメージを浮かべるのは、そう難しい事ではなかったと思います。
「肩書き」にプラスして「その人物がどんな体験をするのか」を加えることで、イメージはより鮮明になります。
前回もお話しましたが、人間というのはイメージが浮かぶと、それが正解か否か知りたくなる生き物です。
上記のテクニックを使うことによって、タイトル→あらすじ→本文……という流れに繋げやすくなります。
ちなみにこの法則ですが、Twitterではマンガの宣伝に多用されています。
「〇〇が××する話」というタイトルのマンガがバズっている光景、最近はよく目にしますよね。
ここからも『石油王の体験談』の法則が有用で、なおかつ『小説家になろう』の“外”でも応用が利くことがお分かりいただけるでしょう。
ここまでの話をまとめたのが、次のスライドになります。

それでは次に「3.明るい未来にレディーゴー」の法則について説明しましょう。
インターネット、特にTwitterでは「ネタバレしすぎなアニメの次回予告」が話題になることがあります。
例としては次のようなものでしょうか。
・「城之内死す」(『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』)
・「愛するもののために…ベジータ散る!」(『ドラゴンボールZ』)
・「Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴー!!」(『機動武闘伝Gガンダム』)
たしかにこれらは次回の話のネタバレになっています。
でも、具体的な部分には触れていませんよね。
「城之内死す」「ベジータ散る!」
→なぜ、どのようにして、死ぬのか。復活の可能性はあるのか。
「Gガンダム大勝利!」
→どうやって勝利するのか、勝利した結果、どうなるのか。
上記のように「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」ことで、視聴者のイメージを喚起しながらも「続きが気になる!」という状況を作っているのです。
そしてこの技術は、Web小説のタイトルにも応用可能です。
「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」
これを心掛けるだけで、以前よりもずっと多くの読者を獲得できるでしょう。
大枠が示されているからイメージは浮かぶ。
けれども詳細までは分からないから、気になって読んでしまう……。
そんなタイトルを付けるには何をすればいいのでしょうか?
方法のひとつは「主人公がどんな未来にレディーゴーするのか(将来的にどうなるのか・何を成し遂げるのか)」をタイトルに盛り込むことです。
『小説家になろう』7月14日現在の四半期総合ランキングを例にして説明します。
赤文字にしているところが「どんな未来にレディーゴーするのか」にあたります。
・信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!
・勇者に恋人を寝取られ追放されたが、『経験値貯蓄』スキルが壊れてレベル300になったのでのんびり傷心旅行でもしようかと思ってます
・報われなかった村人A、貴族に拾われて溺愛される上に、実は持っていた伝説級の神スキルも覚醒した
日間総合ランキングや週間総合ランキングの上位に来る作品は、おおむね、タイトルの中で「主人公の未来」について触れています。
この点を意識しながらランキングを見ていくと、新たな発見があるはずです。
[補足]
もちろん「主人公の未来」についてタイトルで触れていない作品も存在します。
その場合はあらすじやタグ、第1話に注目してください。
タイトルで拾いきれなかった要素は、必ず、別の場所で回収されているものです。
では、恒例となるまとめスライドです。

さて、今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話しましたが、実はこの2つを組み合わせると、長文タイトルの公式が見えてきます。
下のスライドをご覧ください。

いきなり「変化」という言葉が出てきて戸惑うかもしれませんが、「体験」とおおむね同じ意味合いです。
タイトルにおいては「主人公の境遇を一変させるような体験」について触れたほうが読者の興味を惹けますので、ここでは「変化」という言葉にしました。
なお、この公式は短いタイトルにも応用できます。
タイトルにおいては「肩書き」「変化」「未来」のうち1つか2つにだけ触れて、他の部分はあらすじ・タグ・第1話で補う、というものです。
『公爵令嬢の嗜み』『ゼロスキルの料理番』『マリエル・クララックの婚約』――。
これまでに書籍化・コミカライズされた短フレーズ系タイトルの作品をチェックして、その技術を取り込むことができれば、多くの人に読んでもらうことも十分に可能でしょう。
以上となります。
次回はあらすじについての話になります。
「あらすじに何を、どういうふうに書けばいいのか?」について、具体的にお話していく予定です。
ぜひお読みくださいませ。
世間ではいまだ新型コロナの影響が続き、『小説家になろう』のランキングには長文タイトルが数多く並んでいる現状ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
前回のコラムですが、予想以上の反響を頂いておりまして、非常に嬉しく感じております。
そのなかの一部を紹介しますと……
・NOTEで有料情報になるべき内容が無料公開中。内容全部メモさせていただきました。
・面白い。ありいそとがちがち、今後は意識してみたい。バズるツイートにも応用の要素がありそう。
・試してみたら効果あった。これ、使える。
上記のように高評価が多く、また、すぐに実行に移したことで効果を上げている方もいらっしゃるようです。
ちなみにですが、反論(?)として「短いタイトルじゃダメなんですか!?」という声もいただきました。
結論から言うと、ダメじゃないです。
短いタイトルであろうと十分に勝負できます。
たとえば7月14日の日間総合ランキング1位は「ふつつかな悪女ではございますが」です。
これにプラスして『小説家になろう』の日間総合ランキングで上位に入り、しかもコミカライズに届いた作品をいくつかチェックしてみましょう。
すると、いくつかのコツが見えてきます。




ちなみに「ありふれたフレーズに引っ掛ける」というのは長文タイトルにも使えるコツです。
タイトルが長くても短くても、本質的なコツは同じなのです。
さらに言えば、これらの技術はすべてキャッチコピーやバズるツイートにも応用が利きます。
(ですので、もしも貴方が『小説家になろう』から離れたとしても、このコラムの内容は一生役に立ちます。おトクですね!)
さて、前回の振り返りも終わったところで、新しい話題に入っていきましょう。

今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話します。
まずは「2.石油王の体験談」の法則からですね。
突然ですが、石油王は好きですか?
Twitterではたびたびネタにされてバズっていますし、どうやら人気は高いようです。
では、石油王というと、どのようなイメージで知られているでしょうか?
これまでに読んたマンガなどを思い出して、ちょっと考えてみてください。
・頭にターバンを巻いている
・浅黒い肌にあごヒゲ
・砂漠の国の生まれ
・やたらと日本のゲームやアニメに詳しい
・手から石油を出す(?)
・5000兆円をポンとくれる
「石油王」という人の立場・性質を示す短いフレーズ、すなわち、広い意味での「肩書き」から色々なイメージが出てくると思います。
世の中では「肩書きで人を判断するな!」という主張もあります。
ですが逆に言えば、我々は肩書きひとつで相手に対してさまざまなイメージを膨らませるのです。
この性質を利用することが、魅力的なタイトルを付けるにあたって重要になってきます。
「勇者」「賢者」「魔王」「聖女」「悪役令嬢」「無能」「辺境領主」「執事」「外れスキル」――。
主人公の立場・性質を分かりやすく示す短いフレーズ(=広義の「肩書き」)をタイトルに盛り込むだけで、読む側の脳内に具体的なイメージが浮かびやすくなり、読んでもらえる可能性が高くなります。
そして、さらにここでもう一押しのコツをお教えしましょう。
石油王の話に戻りますが、以下の例を見て、それぞれの情景をイメージしてください。
・石油王が大阪で食べ歩きをする話
・石油王が人生初のスキーに挑戦する話
・石油王が雨の日に捨て猫を拾う話
いかがだったでしょうか?
具体的なイメージを浮かべるのは、そう難しい事ではなかったと思います。
「肩書き」にプラスして「その人物がどんな体験をするのか」を加えることで、イメージはより鮮明になります。
前回もお話しましたが、人間というのはイメージが浮かぶと、それが正解か否か知りたくなる生き物です。
上記のテクニックを使うことによって、タイトル→あらすじ→本文……という流れに繋げやすくなります。
ちなみにこの法則ですが、Twitterではマンガの宣伝に多用されています。
「〇〇が××する話」というタイトルのマンガがバズっている光景、最近はよく目にしますよね。
ここからも『石油王の体験談』の法則が有用で、なおかつ『小説家になろう』の“外”でも応用が利くことがお分かりいただけるでしょう。
ここまでの話をまとめたのが、次のスライドになります。

それでは次に「3.明るい未来にレディーゴー」の法則について説明しましょう。
インターネット、特にTwitterでは「ネタバレしすぎなアニメの次回予告」が話題になることがあります。
例としては次のようなものでしょうか。
・「城之内死す」(『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』)
・「愛するもののために…ベジータ散る!」(『ドラゴンボールZ』)
・「Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴー!!」(『機動武闘伝Gガンダム』)
たしかにこれらは次回の話のネタバレになっています。
でも、具体的な部分には触れていませんよね。
「城之内死す」「ベジータ散る!」
→なぜ、どのようにして、死ぬのか。復活の可能性はあるのか。
「Gガンダム大勝利!」
→どうやって勝利するのか、勝利した結果、どうなるのか。
上記のように「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」ことで、視聴者のイメージを喚起しながらも「続きが気になる!」という状況を作っているのです。
そしてこの技術は、Web小説のタイトルにも応用可能です。
「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」
これを心掛けるだけで、以前よりもずっと多くの読者を獲得できるでしょう。
大枠が示されているからイメージは浮かぶ。
けれども詳細までは分からないから、気になって読んでしまう……。
そんなタイトルを付けるには何をすればいいのでしょうか?
方法のひとつは「主人公がどんな未来にレディーゴーするのか(将来的にどうなるのか・何を成し遂げるのか)」をタイトルに盛り込むことです。
『小説家になろう』7月14日現在の四半期総合ランキングを例にして説明します。
赤文字にしているところが「どんな未来にレディーゴーするのか」にあたります。
・信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!
・勇者に恋人を寝取られ追放されたが、『経験値貯蓄』スキルが壊れてレベル300になったのでのんびり傷心旅行でもしようかと思ってます
・報われなかった村人A、貴族に拾われて溺愛される上に、実は持っていた伝説級の神スキルも覚醒した
日間総合ランキングや週間総合ランキングの上位に来る作品は、おおむね、タイトルの中で「主人公の未来」について触れています。
この点を意識しながらランキングを見ていくと、新たな発見があるはずです。
[補足]
もちろん「主人公の未来」についてタイトルで触れていない作品も存在します。
その場合はあらすじやタグ、第1話に注目してください。
タイトルで拾いきれなかった要素は、必ず、別の場所で回収されているものです。
では、恒例となるまとめスライドです。

さて、今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話しましたが、実はこの2つを組み合わせると、長文タイトルの公式が見えてきます。
下のスライドをご覧ください。

いきなり「変化」という言葉が出てきて戸惑うかもしれませんが、「体験」とおおむね同じ意味合いです。
タイトルにおいては「主人公の境遇を一変させるような体験」について触れたほうが読者の興味を惹けますので、ここでは「変化」という言葉にしました。
なお、この公式は短いタイトルにも応用できます。
タイトルにおいては「肩書き」「変化」「未来」のうち1つか2つにだけ触れて、他の部分はあらすじ・タグ・第1話で補う、というものです。
『公爵令嬢の嗜み』『ゼロスキルの料理番』『マリエル・クララックの婚約』――。
これまでに書籍化・コミカライズされた短フレーズ系タイトルの作品をチェックして、その技術を取り込むことができれば、多くの人に読んでもらうことも十分に可能でしょう。
以上となります。
次回はあらすじについての話になります。
「あらすじに何を、どういうふうに書けばいいのか?」について、具体的にお話していく予定です。
ぜひお読みくださいませ。
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