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#書き出し祭り ぽっぷこぉーん presents 第一回 書き出し小説コンテスト(#書ぽコン企画) 講評どとーんと大公開!



 お待たせ致しました。

 先日結果発表されました第10回書き出し祭りのタイアップ企画「書き出し祭り×ぽっぷこぉーん presents 書き出し小説コンテスト」につきまして、大変遅くなりましたが、講評の公開させていただきます。




大賞

●俺はサル山のボスになる。

[遠野先生]
タイトル・あらすじの印象:
 ものすごく面白そうなギャグコメディの予感が漂ってますね……!
 
タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 まさかのシリアス! これはいい意味で騙された! ナイス!
「ただのギャグコメディに見せかけたサスペンス」ではなく「ものすごく面白そうなギャグコメディと思ったら、さらには緊迫のサスペンス要素も盛り込まれていた!」という一粒で二度おいしい作品。これは素敵。
 頭に銃を突きつけられて絶体絶命、続きが気になりますね!

[キッカイキ先生]
  最初は同窓会できて無いメンバーのお話でサル山のボスと言うワードだった為シュールなお話何かと思いましたが。
そこから徐々に物騒なワードや急展開もあり続きは!って食い気味になりました笑
展開の序盤の緩やかな雰囲気から一変して続きが気なる終わらせ方も上手だと思いました。

最終候補

●サクラ、歌ってくれよ

[遠野先生]
タイトル・あらすじについての印象:
 タイトルからは「過去のトラウマのせいで歌えなくったサクラを癒す主人公」みたいな構図を予想していましたが、サクラが消えてしまう物語なのですね。

タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 ハルとサクラの、現在の関係性が伝わる書き出しでした。ハル→サクラの「彼女を孤独から救いたい」思いに、どこまで読み手を共感させられるかがポイントになるでしょうし、そこを楽しみにしています。

[キッカイキ先生]
 売れない路上ミュージシャンのお話で、以前いた女の子のサクラが突如再開する所から神隠し体質や3年前のストーリー等、今後明らかになるであろうポイントなどが気になりました!
また、いつ消えるのか解らない点なども今後どの様にして行くのかなどその点も続きが見たいと思ったポイントでした。


●エルマンデルへの福音書

[遠野先生]
タイトル・あらすじの印象:
「エル」「マンデル」どちらもなんとなく耳になじみのある言葉。
 知ってるけど知らない感はフックとして強いですね!

タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 書き出しを読むことで「クールで理知的なエーヴァルトと、人情肌だが食えないところのあるゴエイ」の組み合わせが理解できますし、それはとても魅力的です。
 ただ、この関係性を「書き出しを読んでのお楽しみ」にするより、あらすじに盛り込んでしまったほうが、より多くの同好の士を惹きつけることができるかもしれません!

[キッカイキ先生]
 エーヴァルトの幼いながらクールで荘厳なキャラクター性と豪快な印象のゴエイのキャラクター性がとても良いですね!
ストーリーは人の死からなる影などの要素がどの様に作用するのかや祈り手とは?など気になるワードも多く、コンビの今後の活躍なども楽しみなタイトルでした!


●ウツロネ

[遠野先生]
タイトル・あらすじの印象:
 日本語めいたカタカナ言葉はホラーの様式美。
 あらすじにも「祖母の言いつけ」「不思議で怖い」とあるので覚悟して読み始めます。

タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 この文字数ではウツロネの魅力を語り切れません。
 ゆえに本質に絞ってお話ししますが、ホラーというのは「納得」と「不可解」の危ういバランスの上に成立する曲芸です。
 作者さんは間違いなく超一流の曲芸師であり、すぐにでも本で読みたいと思いました。

[キッカイキ先生]
 あらすじで多くを語らなく確かに気になるなーと共感が持てたところからスタートし、本編は最初から祖母のお話から大きく見出しで取っており重要な詩だとわかるようになっていた所も良かったです。
また、怪異の不可解さや今後見舞われて行くであろう主人公の災難などぜひ続きが読みたいと思わせてくれる作品だと思いました。


●〈神の目〉探偵の超能力事件簿

[遠野先生]
タイトル・あらすじの印象:
 「慣用句の通りに人が殺される」という発想が面白い。正直、これだけで本文を読むモチベーションがMAXになりますね!

タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 被害者が殺される→警察が出てくる→探偵登場、この流れは一種の様式美。ふんふんと思いながら読んでいくわけです。
 そして最後に待ち受けるのは「犯人の視界を奪った」という展開。
 これは驚いた。一気に核心に迫るスピード感。これは続きがものすごく気になる!!!

[キッカイキ先生]
 超能力とミステリーを題材にしたストーリーで、冒頭の犯人が死因が複数ありどの様な手口(超能力?)を使ったのか全く分からなかった為、今後主人公達がどの様に犯人に迫っていくのかとても気になりました!


●残念ながら原稿は命より重いです。

[遠野先生]
タイトル・あらすじの印象:
 タイトルからはシュールギャグの予感。
「人違いで木下を誘拐してしまった犯人を巻き込んで。」
 あらすじ、この一文のパンチがすごいですね。読まずにいられない!

タイトル・あらすじを踏まえた書き出しの印象:
 編河さんのキャラが最高です。会話で誘拐犯を圧倒し、ストライプスーツの軍団を引き連れて現場に現れる。強烈なインパクト。読者の首根っこを引っ掴んで物語に引きずり込む力があります。
 私は強く思いました。編河さんのこの先を見届けねば――、と。

[キッカイキ先生]
 先ず、目が付いたのは特徴的なキャラクター達で断片の端々からそのキャラクターが感じれてその点が良かったです!
また、コミカルなテンポで読みやすく誘拐犯がどの様にして巻き込まれどんな結末になるかも個人的には楽しみでした。




佳作

●あやかしお悩み相談所

[代表]
 スムーズな導入と会話を通してのキャラ立ては素晴らしい。妖怪の一般的なイメージとのギャップやストーリーがコミカルに進んでいく中で、それぞれのキャラがしっかりと把握できるように立てられていて楽しく読むことができました。コミカルな連載として良さそうです。

[企画担当]
 序盤から世界に引きずり込まれるような疾走感がある一方で、登場人物が絞られているおかげでだれのどんな問題(悩み)を解決していくのかという命題がはっきりしているように感じます。
 また一つ一つの文章にリズムがあるので読んでいて退屈しない、飽きないので、早く次のページをめくりたくなります。
 それはそうと所長が所長になった理由も気になりました。





 大賞に選ばれた「俺はサル山のボスになる。」の作者、本庄照さんの読み切り短編が次回コミケで頒布される合同誌に掲載されます。

 どんな短編が掲載されるのか、今から楽しみですね!!

 さて、第一回「書き出し祭り×ぽっふこぉーん 書き出し小説コンテスト」は終わりますが、この度はたくさんのご参加、ありがとうございました。

 まさかここまで多くの参加をいただけるとは思わず、不安でいっぱいのスタートを切りました。また最後の最後でやらかし、選者の先生方や書き出し祭り運営をはじめ皆様にご負担をおかけしました。
 それでも最後までここまで突っ走れたのは皆様のおかげであり、今後とサークルの一員としてもこの企画を盛り上げていきたいなと嬉しいなと思います。
 次回(第11回)はこのタイアップ企画は実施しませんが、また第12回にはバージョンアップして戻ってきますので、楽しみにしてお待ちください。
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#書ぽコン企画 選考基準について

 さて、昨日9月12日18時より書き出し祭りが始まりました。
 当サークルとのタイアップ企画『書き出し祭り×ぽっぷこぉーん presents 書き出し小説コンテスト(以下、書ぽコン企画)』もすでにタイトル・あらすじ発表時から選考が始まっております。

 先日、どんなふうに結果の告知をするのかなどはすでにお伝えさせていただきましたが、本日はそれについての続報を一つお出しさせていただきます。
(実はこの告知をするのに、いろいろと調整時間がかかってました)

 すでに告知済みの内容として、

*大賞作品(1作品)
*最終候補作品(数作品程度)



 これらについて書き出し祭り結果発表後、すぐに発表するとしておりましたが、それに加え、

 なんと、


 なんと、


*大賞および最終候補作品への選者による講評

  を公開させていただきます。


 最初に「すでにタイトル・あらすじ発表時から選考が始まっております」と書かせていただきましたが、本タイアップ企画は下読みを一切設けておらず(=選者の遠野先生とキッカイキ先生のお二人がすべての作品について読まれております)、どの作品に対してもとんでもない熱量で選考をしてくださっておりますが、

 すべての作品に講評をつけてお返しさせていただくことはかなり難しいです。

  参加者の皆様の作品に一つ一つフィードバックをお返しできれば、創作に対するモチベーション向上や創作物の純度を高める上で有用かとは思いますが、本タイアップ企画を継続的に存続させる上で、選者に過負荷を掛けることなく進められる範囲でのフィードバック返却として上記の形とさせていただきました。故に選者が評価をつけなかった作品についての個別評価の問い合わせに応じることはできませんのでご了承ください。選者への直接問い合わせについても不可とさせていただきますのでご理解の程よろしくお願い申し上げます。



 今後も突発的な告知などがありますので、随時当ブログ&ツイッターを確認しておいてくださいね☆

文章:サークル側企画担当

書ぽコン企画選者インタビュー

 今回は、書ぽコン企画における選者の一人、キッカイキ先生に「どんな部分を見るのか・イラストレーターとして仕事をされるときに注意する部分」などを伺いました。


―――――*―――――*―――――*―――――*―――――*―――――*―――――

 初めまして!今回、僭越ながら書き出し祭りの選考者を務めさせて頂きますキッカイキと申します!
 今回、イラストレーターとしてライトノベル等の作品で挿絵を描かせて頂いてる視点でどの辺りに注目するかをお話したいと思います!


 まず一点目ですが、キャラクターの容姿を記述する場合性格、容姿が発言や行動とある程度合致しているかです。
 文体でそのキャラクターを想像しやすい様に髪色や髪型あとは声質、顔、体型等画く場合があると思いますが、その差があり過ぎると「このキャラクターはこのデザインで良いのか?」と少しズレが出たりする場合があり、デザインする場合にやりづらさを感じることがあるので、発言と性格と容姿の一体感を意識するとより違和感を感じづらいキャラクターになるかと思います。(ギャップ感等はまた別のお話です)

 例えば、めちゃめちゃ無口なキャラクターがすごい長文で喋り始めたりとかだとズレを感じたりすると思うんですがそういう点等かなと個人的には思っております。


 二点目は、文章でのキャラクターの容姿をあまり断定し過ぎないことです。
 何故かというと文章の上であまりにもガチガチにキャラ容姿の指定をし過ぎると読者もですがイラストレーターもデザインの縛りが強く出てしまい読者は、想像する楽しみが少なくなり、イラストレーターはデザインを組む上で難しくなる場合もあります。

 ただ、ある程度が抽象的過ぎるので説明すると、基本的に色やキーワードはだしてもよいですが形を断定しないほうがと思います。

 例えば、形とは髪の長さや鎧の形状などシルエット的なものです。
 色やキーワードは髪色や鎧を着てるや軽装ななど厳密さが無いものであれば読者もどの様な鎧なのかまではわからないですが鎧=冒険者なのかな?とか騎士かもしれないとかそのへんの想像もできると思うのでキャラの容姿の説明は出来るだけフワッと大き目のくぐりでやると良いかと思われます。

 以上がイラストレーター視点でのライトノベルの注視点です!
 後は、話の読みやすさやテンポ、ストーリー展開等は個人的な観点が多いかと思いますので、ここで筆を置かせて頂きます。

 最後に今回いろいろな作品が読めると思いますのでとても楽しみに読ませて頂きたいと思います!

 読みにくい所もあったかと思いますが、最後まで見て下さりありがとうございます。
 それでは!


―――――*―――――*―――――*―――――*―――――*―――――*―――――

拝啓 書ぽコン参加者へ

 やあやあ、お久しぶりでございます。


 ぽっぷこぉーんアカウント中の人です。

 え?

 今までの記事を遠野先生に丸投げして、お前は何していたかって?

 ちょっと短めの夏休みを満喫していましたよ……っていうのは冗談で、書ぽコンのための準備(遠野先生の記事のアップのお手伝いを含む)や、まだ公開できないお仕事の準備のためのお仕事をしていましたよ(すべて終わったとは言えないけれど)。

 さあ、カテゴリやタイトルにもある通り、今日は「書ぽコン」についてのあれこれについて、Q&A形式でタイアップ企画担当からの諸連絡です。








 さて、書き出し祭りが始まるまで、残り四週間になりましたね。

 原稿の提出はできてますか?

 とある編集が「もし原稿落ちがでたら、私が出してやらぁ」と言ってますので、受け付け開始1分で埋まった枠を勝ち得た人たちはきちんと出してくださいね(ニッコリ)


 さて、よくるある質問コーナーです。


1.選出って誰がするの?

 画像にも書いてありますとおり、遠野先生とキッカイキ先生のお二方です。
 ただし、参加者の創作活動の公平性を保つため、最終的には代表の承認を得たうえで最終決定させていただきます。


2.選出方法ってどんな風なの?

 公平性を保つため、通常の書き出し祭りと同様に匿名状態で独自審査を行います。そのため、通常の書き出し祭りの結果とは異なる場合もございます。

 なお、具体的な作品個別の判断基準についてのお問い合わせはご遠慮ください。


3.どれぐらいの作品が受賞するの?

 すでに告知している通り、大賞は1作品のみです。
 ただし、"大賞"という形で受賞させるには惜しい作品については最終候補とし、大賞とともに後日、選出者による講評を付与させていただく予定でございます。

 またサークル側の運営システム上、こちらの企画に参加していない作品が独自審査で上位に来る可能性もあります。その場合は大賞については該当なしという形になる可能性もありますので、ご容赦ください。


4.いつ、大賞を発表するの?

 書き出し祭り結果発表直後に当サークルのTwitter公式アカウントにて大賞・最終候補作品の発表を行います。その際は、作者様のアカウントの@ツイートは致しませんので、参加者は各自必ずご確認ください


5.副賞はどうやって選択するの? どうやって受け取るの?

 結果発表後、48時間以内に「サークル公式Twitterアカウント」から受賞連絡ならびに副賞選択の問い合わせをいたします。
 そちらにご返信いただきたく存じます。

※当サークルから潤滑にダイレクトメッセージを送らせていただくためにも、サークル公式アカウントのフォローをお願いいたします。

※現在はコロナの影響により、秘境でのインタビューの実施時期・場所は未定です。ご承知おきください。


6.『合同誌短編掲載』の場合、どのように進めていくのでしょうか?

 こちらは合同誌の頒布イベントの参加状況にもよりますが、現段階(2020年8月時点)での第一回受賞者を例に記載させていただきます。

*プロット締め切り:2020年12月中旬
*初稿締め切り:2021年1年月上旬
*第二稿締め切り:2021年1月下旬
*最終原稿締め切り:2021年3月下旬(直しの状況によりますので、前後する可能性もあります)
*合同誌頒布:2021年5月

 以前、お知らせした内容と若干ズレてあるかもしれませんが、こちらの内容で動かせていただきます。

※この日程は初めて合同誌に参加される方という想定で動かせていただきます。
(現在、当サークル合同誌で連載されている先生方とは異なる日程です)

 文字数の規定や提出していただくものの規定・ファイル形式につきましては、後日、受賞者に個別に連絡いたします。

 掲載時のイラストについては、今までの作風や現在、サークルで連載中の作品などを考慮し、バックヤードメンバーで協議、決定させていただきます。

7.合同誌に載せる内容はなんでもいいの?

 はい、大丈夫です。
 ただし、R15の内容(全年齢版「小説家になろう」で掲載できるもの)となります。
 また、書き出し祭りの内容ではなくても構いません。


 とりあえずこんなところでしょうか。
 また、なにか質問や指摘がありましたら、お声かけください。



著:サークルぽっぷこぉーん 書き出し祭りタイアップ企画担当
編:サークルぽっぷこぉーん 公式アカウント中の人

書ぽコンコラム第2回『なろうの流行に合わせてわざわざ長いタイトルにしてやってるのになぜかポイントが跳ねないあなたのためのタイトル講座(2)』

 こんにちは、遠野九重です。

 世間ではいまだ新型コロナの影響が続き、『小説家になろう』のランキングには長文タイトルが数多く並んでいる現状ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 前回のコラムですが、予想以上の反響を頂いておりまして、非常に嬉しく感じております。
そのなかの一部を紹介しますと……

・NOTEで有料情報になるべき内容が無料公開中。内容全部メモさせていただきました。
・面白い。ありいそがちがち、今後は意識してみたい。バズるツイートにも応用の要素がありそう。
・試してみたら効果あった。これ、使える。

 上記のように高評価が多く、また、すぐに実行に移したことで効果を上げている方もいらっしゃるようです。
ちなみにですが、反論(?)として「短いタイトルじゃダメなんですか!?」という声もいただきました。

 結論から言うと、ダメじゃないです。

 短いタイトルであろうと十分に勝負できます。
 たとえば7月14日の日間総合ランキング1位は「ふつつかな悪女ではございますが」です。
 これにプラスして『小説家になろう』の日間総合ランキングで上位に入り、しかもコミカライズに届いた作品をいくつかチェックしてみましょう。
 すると、いくつかのコツが見えてきます。










 ちなみに「ありふれたフレーズに引っ掛ける」というのは長文タイトルにも使えるコツです。

 タイトルが長くても短くても、本質的なコツは同じなのです。
 さらに言えば、これらの技術はすべてキャッチコピーやバズるツイートにも応用が利きます
(ですので、もしも貴方が『小説家になろう』から離れたとしても、このコラムの内容は一生役に立ちます。おトクですね!)

 さて、前回の振り返りも終わったところで、新しい話題に入っていきましょう。



 今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話します。

 まずは「2.石油王の体験談」の法則からですね。

 突然ですが、石油王は好きですか?
 Twitterではたびたびネタにされてバズっていますし、どうやら人気は高いようです。

 では、石油王というと、どのようなイメージで知られているでしょうか?

 これまでに読んたマンガなどを思い出して、ちょっと考えてみてください。

・頭にターバンを巻いている
・浅黒い肌にあごヒゲ
・砂漠の国の生まれ
・やたらと日本のゲームやアニメに詳しい
・手から石油を出す(?)
・5000兆円をポンとくれる

「石油王」という人の立場・性質を示す短いフレーズ、すなわち、広い意味での「肩書き」から色々なイメージが出てくると思います。
 世の中では「肩書きで人を判断するな!」という主張もあります。
 ですが逆に言えば、我々は肩書きひとつで相手に対してさまざまなイメージを膨らませるのです。

 この性質を利用することが、魅力的なタイトルを付けるにあたって重要になってきます。
「勇者」「賢者」「魔王」「聖女」「悪役令嬢」「無能」「辺境領主」「執事」「外れスキル」――。

 主人公の立場・性質を分かりやすく示す短いフレーズ(=広義の「肩書き」)をタイトルに盛り込むだけで、読む側の脳内に具体的なイメージが浮かびやすくなり、読んでもらえる可能性が高くなります。
 そして、さらにここでもう一押しのコツをお教えしましょう。

 石油王の話に戻りますが、以下の例を見て、それぞれの情景をイメージしてください。

・石油王が大阪で食べ歩きをする話
・石油王が人生初のスキーに挑戦する話
・石油王が雨の日に捨て猫を拾う話

 いかがだったでしょうか?

 具体的なイメージを浮かべるのは、そう難しい事ではなかったと思います。
「肩書き」にプラスして「その人物がどんな体験をするのか」を加えることで、イメージはより鮮明になります。

 前回もお話しましたが、人間というのはイメージが浮かぶと、それが正解か否か知りたくなる生き物です。
 上記のテクニックを使うことによって、タイトル→あらすじ→本文……という流れに繋げやすくなります。

 ちなみにこの法則ですが、Twitterではマンガの宣伝に多用されています。

「〇〇が××する話」というタイトルのマンガがバズっている光景、最近はよく目にしますよね。

 ここからも『石油王の体験談』の法則が有用で、なおかつ『小説家になろう』の“外”でも応用が利くことがお分かりいただけるでしょう。

 ここまでの話をまとめたのが、次のスライドになります。




 それでは次に「3.明るい未来にレディーゴー」の法則について説明しましょう。

 インターネット、特にTwitterでは「ネタバレしすぎなアニメの次回予告」が話題になることがあります。

 例としては次のようなものでしょうか。

・「城之内死す」(『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』)
・「愛するもののために…ベジータ散る!」(『ドラゴンボールZ』)
・「Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴー!!」(『機動武闘伝Gガンダム』)

 たしかにこれらは次回の話のネタバレになっています。
 でも、具体的な部分には触れていませんよね。

「城之内死す」「ベジータ散る!」
→なぜ、どのようにして、死ぬのか。復活の可能性はあるのか。
「Gガンダム大勝利!」
→どうやって勝利するのか、勝利した結果、どうなるのか。

 上記のように「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」ことで、視聴者のイメージを喚起しながらも「続きが気になる!」という状況を作っているのです。
 そしてこの技術は、Web小説のタイトルにも応用可能です。

「物語の大枠をネタバレしながら詳細には触れない」

 これを心掛けるだけで、以前よりもずっと多くの読者を獲得できるでしょう。
 大枠が示されているからイメージは浮かぶ。
 けれども詳細までは分からないから、気になって読んでしまう……。

 そんなタイトルを付けるには何をすればいいのでしょうか?

 方法のひとつは「主人公がどんな未来にレディーゴーするのか(将来的にどうなるのか・何を成し遂げるのか)」をタイトルに盛り込むことです。

『小説家になろう』7月14日現在の四半期総合ランキングを例にして説明します。
 赤文字にしているところが「どんな未来にレディーゴーするのか」にあたります。

・信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!
・勇者に恋人を寝取られ追放されたが、『経験値貯蓄』スキルが壊れてレベル300になったのでのんびり傷心旅行でもしようかと思ってます
・報われなかった村人A、貴族に拾われて溺愛される上に、実は持っていた伝説級の神スキルも覚醒した

 日間総合ランキングや週間総合ランキングの上位に来る作品は、おおむね、タイトルの中で「主人公の未来」について触れています
 この点を意識しながらランキングを見ていくと、新たな発見があるはずです。

[補足]
 もちろん「主人公の未来」についてタイトルで触れていない作品も存在します。
 その場合はあらすじやタグ、第1話に注目してください。
 タイトルで拾いきれなかった要素は、必ず、別の場所で回収されているものです。

 では、恒例となるまとめスライドです。




 さて、今回は「2.石油王の体験談」と「3.明るい未来へレディーゴー」の法則についてお話しましたが、実はこの2つを組み合わせると、長文タイトルの公式が見えてきます。

 下のスライドをご覧ください。



 いきなり「変化」という言葉が出てきて戸惑うかもしれませんが、「体験」とおおむね同じ意味合いです。
 タイトルにおいては「主人公の境遇を一変させるような体験」について触れたほうが読者の興味を惹けますので、ここでは「変化」という言葉にしました。

 なお、この公式は短いタイトルにも応用できます
 タイトルにおいては「肩書き」「変化」「未来」のうち1つか2つにだけ触れて、他の部分はあらすじ・タグ・第1話で補う、というものです。

『公爵令嬢の嗜み』『ゼロスキルの料理番』『マリエル・クララックの婚約』――。

 これまでに書籍化・コミカライズされた短フレーズ系タイトルの作品をチェックして、その技術を取り込むことができれば、多くの人に読んでもらうことも十分に可能でしょう。


 以上となります。

 次回はあらすじについての話になります。
「あらすじに何を、どういうふうに書けばいいのか?」について、具体的にお話していく予定です。
 ぜひお読みくださいませ。

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プロフィール

ぽっぷこぉーん

Author:ぽっぷこぉーん
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[現在の状況]
・コミケ:連続参加中
・その他頒布会:充電中
ツイッター:不定期更新中
・ブログ:大改修中

[公式企画]
・書き出し祭り×ぽっぷこぉーん presents 書き出し小説コンテスト 第一回:鋭意準備中


公式メール
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